米国ナスダック上場の優遇措置、FPIとEGCの活用法【後編】 | NASDAQ上場・ガバナンス・監査を支援する会計アドバイザリー | SMASH & Partners 合同会社

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米国ナスダック上場の優遇措置、FPIとEGCの活用法【後編】

前編ではFPI(外国民間発行体)について解説しました。後編では、もう一つの優遇制度であるEGC(Emerging Growth Company、新興成長企業)と、FPIとの組み合わせによる効果について見ていきます。

EGCとは、JOBS法(2012年制定)により導入された制度で、上場直前会計年度の総収入が一定基準額(現在は約12億3,500万ドル、毎年インフレ調整あり)未満の企業が対象となります。多くの日本企業、特にこれから米国上場を目指す成長段階の企業は、このEGC基準に該当するケースが少なくありません。

EGCに認定されると、以下のような優遇措置を受けられます。

優遇措置内容
SOX法404(b)監査の免除内部統制に関する監査人の意見表明が最長5年間免除。監査だけで数百万〜数千万円規模のコストと数ヶ月の準備期間がかかることもあり、実務上のインパクトが特に大きい
非公開(機密)提出F-1(またはS-1)の初回提出を非公開で実施可能。競合他社や市場に情報が漏れるリスクを抑えながら準備を進められる
財務諸表の年数緩和通常3年分必要な監査済み財務諸表が、2年分で済む場合がある
新会計基準の適用猶予新しい会計基準の適用について、非上場企業向けの猶予期間を利用できる
アナリストレポート規制の緩和リサーチレポートの事前配布制限など、アナリストレポート公表に関する規制が緩和される

EGCのステータスは、上場から5年間、または総収入が基準額を超える、非関係会社の発行済株式の市場価値が一定額を超える、過去3年間に10億ドル以上の非転換債を発行する、のいずれかに該当した時点で終了します。

ここで重要なのは、FPIとEGCは併用可能だという点です。日本企業が米国上場を目指す場合、多くのケースでFPIとEGCの両方の認定条件を満たします。両方を組み合わせることで、開示負担と監査コストの両面で大幅な軽減を実現できます。具体的には、20-Fによる緩やかな年次報告、四半期報告の免除、役員報酬の個別開示不要(FPIの効果)に加えて、SOX404(b)監査の5年免除、財務諸表2年分での提出、非公開提出によるリスク低減(EGCの効果)が同時に得られることになります。

ただし、優遇措置はあくまで「負担軽減」であり「免除」ではない部分も多い点には注意が必要です。たとえばSOX404(b)の監査人意見表明が免除されても、経営者自身による内部統制の評価(404(a))は引き続き必要です。優遇措置を過信して内部統制の整備を後回しにすると、EGCステータスが終了した時点(上場5年後など)で急にハードルが上がり、対応に苦慮する企業も少なくありません。優遇期間中にこそ、将来を見据えた体制構築を進めておくことが望ましいといえます。

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