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米国ナスダック上場の継続開示義務:20Fと6-K

ナスダック上場は、長い準備期間を経てようやく辿り着くゴールのように感じられますが、実際にはそこからが本当のスタートです。F-1の提出が完了し、晴れて上場したあとも、SECに対する継続的な開示義務が待っています。その中心となるのが「20-F」「6-K」です。

20-Fは、FPI(外国民間発行体)に認定された企業が提出する年次報告書です。米国企業が使う10-Kに相当しますが、提出期限はやや緩やかで、事業年度終了後4ヶ月以内とされています。内容は事業概要、リスク要因、財務諸表(US GAAPまたはIFRS)、MD&A(経営陣による財政状態および経営成績の検討と分析)、ガバナンス体制の説明など、IPO時のF-1とほぼ同じ項目を毎年更新する形で開示します。F-1作成のノウハウがそのまま活かせる一方、毎年このボリュームの開示作業が発生するという点は、社内のリソース計画に組み込んでおく必要があります。

6-Kは、年次報告書の合間に発生する重要な事象を都度開示するための臨時報告書です。米国企業が四半期ごとに10-Qを提出する義務を負うのに対し、FPIは四半期報告そのものが義務ではありません。ただし、決算発表、重要な契約の締結、経営陣の変更、本国(日本)での開示義務がある事項など、株主の判断に影響を与えうる事象が発生した際には、その都度6-Kで開示する必要があります。実務上は、日本の適時開示(プレスリリース等)とほぼ同時に英文での6-K提出が求められる場面が多く、日本語と英語の開示を並行して回す体制が必須になります。

ここで日本企業がよく見落とすのが、開示の「タイミング管理」です。日本国内の開示と米国側の開示で求められる即時性にズレがあると、片方の市場で先に情報が出てしまい、もう一方の株主に不利益が生じるリスクがあります。実務的には、日本側の広報・IR部門と米国側のリーガル・会計アドバイザーが連携し、開示文書の英訳とSEC提出のフローをあらかじめ決めておくことが重要です。

また、四半期報告が義務でないとはいえ、多くの機関投資家は四半期ごとの業績開示を期待しています。義務がないことを理由に開示を怠ると、投資家からの評価やアナリストカバレッジに悪影響が出ることもあるため、実務上は自主的に四半期ごとの業績を6-Kで開示する企業も少なくありません。

上場はスタートラインであり、20-Fと6-Kへの対応体制こそが、上場後のIR・ガバナンス運営の土台になります。

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