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【米国上場実務】de-SPAC後のEGC期間とSOX 404(b) — 「上場日」をどこから数えるか

5年のカウントはどこから始まるか

JOBS法のEGC(新興成長企業)に該当する会社は、SOX法404(b)の内部統制監査が免除されるなどの緩和措置を受けられます。その期限は「登録届出書に基づく最初の普通株式の売却」から5周年を迎えた事業年度の末日です。通常のIPOであれば起算点は明快ですが、SPACとの統合(de-SPAC)で上場した会社では、この「最初の売却」がSPACのIPOなのか、統合後の会社の上場なのかという問題が生じます。5年の起算点が数年ずれれば、内部統制監査の開始年度、監査報酬、内部統制の文書化スケジュールが丸ごと動きます。

SPAC存続型:起算点はSPACのIPO

SPACが存続会社となり、対象会社を子会社化して社名変更する典型的な型では、SECスタッフのJOBS法FAQ等を踏まえると、EGCの5周年テストはSPACのIPOを基準に進む整理が基本です。たとえばSPACが2024年にIPOした場合、他の失格要件に先に該当しない限り、5周年テストはそのIPOを基準に進みます。もっとも、EGC終了後に直ちにSOX 404(b)監査が必要になるとは限らず、実際の適用時期はその時点のaccelerated filer等の提出会社区分も併せて判定する必要があります。

新設持株会社型:見解が分かれる

一方、新設の持株会社(TopCo/PubCo)の下でSPACと対象会社の双方を子会社化する型では、持株会社自身がForm F-4/S-4で株式を登録します。「最初の登録売出しは持株会社の統合時の株式発行であり、そこから5年」という読み方が成り立ち得るのはこのためです。

ただし実務の主流はそうなっていません。持株会社はSPACの証券登録を引き継ぐ承継会社(successor)として扱われ、多くの持株会社型案件の登録届出書には「SPACのIPO完了から5周年を迎える事業年度末までEGCに該当する」と記載されています。承継会社の地位は前身から引き継ぐというスタッフの考え方が背景にあります。三角合併でSPACを消滅させる場合でも同様の整理が採られる例が多く、「新設会社の上場日から起算」は現時点では少数説と考えておくべきです。

タイムラインは保守的に組む

結論として、この論点は米国証券弁護士の確認事項ですが、確認が取れるまでは「SPACのIPO日起算」を前提に準備を進めるのが保守的です。また、EGCが終了してもSOX 404(b)の適用は提出会社区分等によって決まります。特にFPIがForm 20-Fを利用する場合、2026年5月のFiler Status再編案はFPIを新しいNAF枠組みから基本的に除外し、Form 20-F上の監査人証明の$75M基準を維持する提案です。EGCの期限とFPIの提出区分を別々に確認する必要があります。

FPI企業への適用・影響

【直接関係】EGCはFPIにも該当し得ますが、EGC終了後のSOX 404(b)はFPIの提出会社区分・公開株式時価総額等を別途判定します。2026年5月提案はFPIを新NAF枠組みから基本的に除外し、Form 20-Fの$75M基準を維持する内容です。

参考:JOBS Act Section 101、SEC Division of Corporation Finance「JOBS Act FAQ」(2012年9月)、SEC Release 33-11265(2024年1月)、SEC Release 33-11419(2026年5月)

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執筆者:森 大輔(公認会計士・公認不正検査士)

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