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外資系企業の会計監査について

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2024年05月04日 | Column

 世間はゴールデンウイーク真っ只中ですね。多くの方が楽しい日々を過ごせるのも、それぞれの場所でお仕事をされている方がいるおかげでもあります。感謝です。

 さて今回のお題は「外資系企業の会計監査について」です。

 これまで内部監査に関するコラムが多かったのですが、ここ最近外資系企業の、特に会計監査に関する問い合わせが増えており、コラムを一度書いておこうと思った次第です。まず”会計監査”について説明します。世の中で言う会計監査には幾つかの意味があります。一番一般的なのは、公認会計士や監査法人が上場会社が作成した有価証券報告書に記載の財務諸表へ決算数値の監査をすることや大企業が作成する計算書類への決算書監査を行い、最後に監査報告書を発行するものです。

 この点、外資系企業となると少し特徴的なことがあります。それは業界用語として”リファーラル監査”や”リファードワーク”と呼ばれるものです。例えば、親会社が米国にあり、子会社が日本にある場合で、親会社が連結財務諸表を作成するにあたり、親会社が作成する連結財務諸表の基礎となる財務諸表を子会社も作成します。親会社には連結財務諸表を監査する監査人(監査法人や公認会計士)がおり、当監査法人が連結財務諸表を監査するわけですが、世界中にある子会社が作成する財務諸表をそれぞれの国へ行って監査をするのはコスト的にも時間的にも現実的ではありません。そこで、世界各国にある監査人に海外子会社が作成する財務諸表を監査してもらうことになります。海外子会社の財務諸表を監査する監査人は親会社の連結財務諸表に対して監査意見を出し、一方で海外子会社を監査した監査人からもそれぞれ監査報告書を入手します。日本にある子会社の財務諸表を監査したらアメリカにある親会社を監査する監査人へ監査報告書を送るわけです。当該監査報告書は日本以外であれば基本的には英語で記載されています。このような親会社の監査人向けに子会社が監査を行い、監査報告書を発行する一連の監査をリファーラル監査又はリファードワークと呼んだりします。

 ここまで読んだ方の中で推察ついた方もいらっしゃるかもしれませんが、親会社の監査人は大切な連結財務諸表への監査意見を出し、その監査意見を構成する子会社の監査意見は別の監査人が出すわけですので、子会社の監査人とはうまく連携する必要がありますし、子会社の監査人が信頼のおけない監査法人や監査人であってはいけません。そのため、大手の監査法人であれば、グローバルネットワークとして各国にメンバーファームとして同じブランドで活動する監査法人が存在するため、親会社の監査人と子会社の監査人は同一のメンバーファームであることが多いです。とはいえ、昨今の監査報酬高騰により、子会社の監査人が同一のメンバーファームあることが難しくなってきていることから、親会社と子会社の監査人が同一のメンバーファームでない場合も最近は多くなってきました

 国境をまたいで監査を行うため、子会社の監査人は海外経験が豊富であったり、当該リファーラル監査は特有論点も多いためその経験がある監査人であったり、また、英語も文章だけでなくコミュニケーションでも利用したりするため英語をしっかり使えることも大事になってきます。

 現在、弊所でも英語や国際経験がMUSTとされるリファーラル監査への引き合いや問い合わせが増えてきており、嬉しい限りですが、これまでとは違った傾向が出てきたなぁと感じるこの頃です。

 本日は少し長くなってしまいましたが、外資系企業の監査についても信頼できる・品質が保てる監査人が行うことは変わりなく、また、国際経験やリファーラル監査の経験、そして英語でのコミュニケーションや報告ができる監査人へしっかりと依頼することが重要になると考えられます。

 何かリファーラル監査にお困りの際はお気軽に弊所へお問い合わせください。