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海外子会社のリスク管理、どうやる?

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2024年09月29日 | Column

さて今回のお題は海外子会社のリスク管理、どうやる?”です。

海外展開は確かにチャレンジングですが、リスクをしっかり管理すれば、大きなチャンスにもなります。筆者自身も海外現地で多くの日系企業(現地海外子会社)を見て参りましたが、その管理は日本国内とは比べ物にならないほどハードに感じました。それではどうやって海外子会社のリスク管理をしていけばいいのでしょうか。下記にざっとリスク管理と言った場合に実施することを記載いたしました。是非チェックリストとしてもご利用頂ければと思います。

  1. リスクの特定と評価
    • 定期的なリスク評価の実施
    • 現地の政治、経済、法律、文化的リスクの把握
    • 業界特有のリスクの分析
  2. ガバナンス体制の構築
    • 明確な報告ラインの確立
    • 本社と子会社間の定期的なコミュニケーション
    • 現地取締役会の適切な構成と運営
  3. コンプライアンス管理:
    • グローバルコンプライアンスポリシーの策定と実施
    • 現地法令の遵守体制の確立
    • 定期的な監査とモニタリング
  4. 財務リスク管理:
    • 為替リスクのヘッジ
    • 現地の税制への対応
    • 適切な資金管理と移転価格の設定
  5. オペレーショナルリスク管理:
    • 業務プロセスの標準化
    • ITセキュリティの強化
    • サプライチェーンリスクの管理
  6. 人材リスク管理:
    • 現地スタッフの育成と定着
    • 適切な報酬制度の設計
    • 文化的差異への対応
  7. 情報管理:
    • グローバルな情報共有システムの構築
    • データ保護法への対応
    • 知的財産権の保護
  8. 危機管理体制:
    • 緊急時対応計画の策定
    • BCPの整備
    • 現地当局との関係構築
  9. 内部統制システムの構築:
    • グローバルな内部統制基準の適用
    • 現地の状況に応じた柔軟な対応
    • 定期的な評価と改善
  10. 第三者リスクの管理:
    • 取引先のデューデリジェンス
    • 契約管理の徹底
    • 贈収賄リスクへの対応
  11. 環境・社会リスクの管理:
    • ESG基準の遵守
    • 地域社会との良好な関係構築
    • 環境規制への対応
  12. モニタリングと継続的改善:
    • KPIの設定と定期的な評価
    • ベストプラクティスの共有
    • リスク管理プロセスの継続的な見直しと改善

効果的な海外子会社のリスク管理には、本社と現地の緊密な連携、現地の状況に応じた柔軟な対応、そして継続的なモニタリングと改善が不可欠です。また、外部の専門家(法律、会計、リスクコンサルタントなど)の活用も検討すると良いでしょう。

また、リスク評価しただけでは意味がありませんので、リスク管理のPDCAを回していく必要があります。

リスクの認識・洗い出し→リスクの識別→リスクの分類・分析→リスクの評価→リスクの対応

というサイクルです。さらに、昨今ではCSAといってリスクの自己評価(Control Self Assessment)を行い、親会社の負担を軽減しつつ、海外子会社が主体的にリスクを管理する意識を高め、効率的なリスク管理に役立たせるケースが増えてきています。

なお、海外子会社のリスク管理に対する具体的事例としては下記の本がイメージするのに役立ちます。小説風に書かれており、是非ご一読頂きたい本になります。

Amazon.co.jp: 次世代リーダーが知っておきたい 海外進出”失敗”の法則 : 森 大輔: 本