今週衝撃的なニュースが飛び込んできました。日本経済新聞によると、東証がグロース市場の上場維持(上場廃止)基準を厳格化するとのことです。具体的には、「上場5年後の時価総額が100億円以上」を満たすことが上場維持に必要な条件となります。
東証は、グロース市場の上場維持基準を厳格化する方針ですが、現在の上場維持基準は「上場10年後の時価総額が40億円以上」となっています。厳格化後は「上場5年後の時価総額が100億円以上」となります。この基準を満たさない企業は上場廃止になる見込みです。東証がグロース市場の上場維持基準を厳格化する理由として、上場時の時価総額が小さく、上場後の利益成長が限定的な企業が多く存在していることが挙げられますが、今後は上場廃止の恐れがある「時価総額100億円未満の企業」と「株価下落で時価総額が100億円を下回る可能性のある企業」を中心に、時価総額を引き上げるための取り組みが実施されると考えられます。
これを踏まえて、より調達金額が大きく、ネームバリューUPがあり、1年間での上場達成といった短期間上場を目指せるNasdaq(ナスダック)上場を目指すことへ舵を切る企業が出てくる可能性が出て参りました。東証グロース市場への上場を目指すにあたっては、最低でも3年程度かかることが想定され、4年・5年を要するケースも珍しくありません。Nasdaq(ナスダック)上場にはグロース市場への上場と比べて下記のようなメリットがあり、グロース市場への上場からNasdaq(ナスダック)市場への上場を目指すことへ舵を切る会社が増えるものと想定します。
- 短期間上場:1年以内での上場も可能です
- 知名度向上:米国市場での上場により、レピュテーション(評判)、知名度・信用力が向上します
- 多額の資金調達:日本市場での上場に比し、Nasdaq(ナスダック)市場への上場による資金調達額は格段に大きいです
- 利益なしでの上場:成長中企業であれば、利益を計上せずとも上場可能です
- 人材確保の優位性:世界的知名度あるNasdaq(ナスダック)上場により、優秀な人材採用がよりし易くなります
- 書類中心の審査:グロース市場への上場と異なりNasdaq(ナスダック)上場の審査はインタビューは基本的になく、書類提出です
このようなメリットがある中で、Nasdaq(ナスダック)上場を目指すにあたって大きく時間を割かなければならないのが、経理・決算体制整備と適切な財務諸表作成、そして監査済の財務諸表を提出するための財務諸表への監査法人による監査対応です。過去のコラム参照:Nasdaq(ナスダック)上場のための監査対応 | 森大輔公認会計士事務所 – MD C.P.A Office –
Nasdaq(ナスダック)上場を目指すにあたってこまで顧問税理士が決算書を作成したり、チェックしていたから監査法人の監査対応もスムーズに行くだろう、と想定するとほぼ100%うまくいきません。帳簿の整理、適切な補助簿の作成、取引の裏付けとなる書類の管理、税務会計からの企業会計・IFRSやUS-GAAPへのコンバージョンなどは顧問税理士では対応しておらず、一方でその点に気づかずに後の工程で最大のボトルネックとなるケースが殆どです。
Nasdaq(ナスダック)上場を目指すことを方針として決めた場合、真っ先に経理・決算周りの整備、そして監査法人対応ができる人材を揃えておきましょう。人材不足であれば、アウトソースすることも一つの手です。
Nasdaq(ナスダック)上場をお考えの企業様・上場過程で監査対応に悩まれている企業様・決算体制に課題を抱えている企業様、まずはお気軽にご相談ください。